薬局に処方箋を持っていったとき「お薬のお渡しを先発品にするかジェネリック医薬品にするか」を質問された経験は誰しもあると思います。 私たちも患者様の希望に沿えるよう、初めて処方箋をお持ちになった患者様にはかならず確認しております。
ただ、「質問されたものの何が違うの?」と疑問に思う方も少なくありませんよね。 今回は先発品とジェネリック医薬品の違いについて説明し、自分にあった薬を選べるようにしていきましょう。
まず、先発品とジェネリック医薬品の特徴です。 詳しくは下をご覧ください。
先発品 | ジェネリック医薬品 | |
---|---|---|
有効成分 | 同じ | 同じ |
用法・用量 | 同じ | 同じ |
効能・効果 | 同じ | 同じ |
価格 | 高い | 安い |
飲みやすさ | 改良されていない | 改良されている |
ここではそれぞれの項目を詳しく解説します。
先発品とジェネリック医薬品は、用法・用量や効能・効果、安全性、副作用、相互作用のおこる頻度などすべて同じです。
なぜなら、両者は同じ有効成分で同じ量だからです。
有効成分や用法・用量、効能・効果が同じであることは、国の厳しい審査によって保証されています。
薬を作るには、約 9〜17年の歳月と数百億円以上の費用がかかります。
研究・開発期間に大きな負担がかかるため、開発元の製薬会社には特許と独占的に製造・販売する権利が与えられるのです。
特許が認められている間は、通常ほかの製薬会社が同じ有効成分で薬を作ることができません。
特許期間が過ぎれば、ほかの製薬会社も同じ有効成分で薬の製造・販売をすることができます。 これが「ジェネリック医薬品」です。
ジェネリック医薬品のほうが先発品よりも薬の値段ははるかに安いことがほとんどです。 その理由は、開発費用がかからないからです。
先発品は開発費に投じた費用を回収しなければならないため、国が定める公定価格が高くなりお薬代は高くなりがちです。 一方、ジェネリック医薬品はすでに開発されている薬を製造・販売するだけなので、開発費がかかりません。そのため、国が定める価格が先発品よりも安価になります。
一例として ロキソニンの先発品とジェネリック剤を比較してみましょう。
先発品 | ジェネリック | |
---|---|---|
製品名 | ロキソニン錠60mg | ロキソプロフェンNa錠60mg「サワイ」 |
薬価(1錠当たり) | 11.00 | 7.90 |
このようにジェネリック剤のほうが3割程度安くなっています。 なお、上述したとおり有効成分も用法・用量も効果・効能も変わりません。
さらに、ジェネリックのなかには飲みやすく改良している薬もあります。 例えば、一部のジェネリック医薬品には次のような工夫が施されています。
同じ効能効果であるにも関わらず、先発品より安く、飲みやすく改良され工夫をこらしているのがジェネリック医薬品なのです。
ジェネリックのなかには「オーソライズドジェネリック(AG)」と呼ばれるものがあります。 一般的なジェネリックとの違いは以下のとおりです。
ジェネリック | オーソライズドジェネリック(AG) | |
---|---|---|
有効成分 | 先発品と同じ | 先発品と同じ |
用法・用量 | 先発品と同じ | 先発品と同じ |
効能・効果 | 先発品と同じ | 先発品と同じ |
原薬 | 先発品と異なることがある | 先発品と同じ |
添加物 | 先発品と異なることがある | 先発品と同じ |
製法 | 先発品と異なることがある | 先発品と同じ |
製造工場 | 先発品と異なることがある | 先発品と同じ※一部を除く |
形状・色・味 | 先発品と異なることがある | 先発品と同じ |
価格 | 先発品より安い | 先発品より安い |
これらを踏まえて、オーソライズドジェネリック(AG)について詳しく説明します。
オーソライズドジェネリック(AG)とは、先発品の製薬会社から特許権を許諾(オーソライズド)して販売するジェネリック医薬品です。
有効成分や効能・効果だけでなく、原薬や添加物、製法まで先発品と同じです。
そのため「ジェネリック剤を不安」に感じる方でも比較的安心して服用できます。
一方で、一般的なジェネリック医薬品と同じように、先発品より薬の料金が安くなっています。
オーソライズドジェネリック(AG)には「種類が少ない」という注意点があります。 また、先発品と製法が同じなので、ジェネリック医薬品に比べると製剤的多様性に欠けるケースもあります。
最後にジェネリック医薬品に関するさまざまな質問に回答します。 ここでは以下の疑問にお答えします。
ジェネリック医薬品に関して不安を抱いている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
ジェネリック医薬品は安全です。 さまざまな試験を用いて、先発品と同じ効果・安全性があると確認されています。
具体的な試験の内容は以下のとおりです。
これらはすべて国で定められています。 すべての基準をクリアしたものが、ジェネリック医薬品として認められます。
医療費の負担を先送りせず、国民皆保険制度を維持するためです。
現在、日本は社会保障費の増大が問題視されています。
例えば、2019年時点では「一人あたりの医療費」は年間35万2,000円ですが、15年後には約1.4倍の48万円になると予想されている※のです。
※参考:日本ジェネリック製薬協会
薬の値段が安くなれば、社会保障費を節約できます。 このような理由から、ジェネリック医薬品が推奨されています。
ジェネリック医薬品は、以下の点が先発品と異なる場合があります。
以上の点から、人によっては添加物の違いによりアレルギー反応がおこることがまれにあります。 また、先発品と形状や色、味などが異なることもあるため、「見慣れない、飲み慣れない」と感じる場合もあるでしょう。
診察時に「ジェネリック医薬品を希望すること」を伝えましょう。
「ジェネリック医薬品希望カード」をお見せいただいて伝えることも可能です。 すべての薬にジェネリック医薬品があるとは限らないのでご了承ください。
先発品とジェネリック医薬品の違いについてまとめます。
先発品とジェネリック医薬品はどちらも「どちらが優れているやどちらを選ぶのが正解」ということはありません。 それぞれの特徴などをしっかり把握するのが大事ですので、ご自身にあった薬を選択していきましょう。
薬局薬剤師として、調剤や服薬指導、服薬相談を多数経験。
患者さんの気持ちに寄り添い、わかりやすい言葉で
治療に前向きになれるような服薬指導を心がけています。
薄毛対策ラボ 監修者
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